Jun.11/2019

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松右衛門が残した資料から見つかった「鞆の浦」(広島県)の絵地図の複製
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松右衛門が残した資料から見つかった「鞆の浦」(広島県)の絵地図の複製
工楽松右衛門の肖像画(兵庫県郷土偉人肖像写真集より。高砂市教委提供)
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工楽松右衛門の肖像画(兵庫県郷土偉人肖像写真集より。高砂市教委提供)
高砂市教育委員会が保管する1万点以上の工楽家文書=高砂市阿弥陀町生石
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高砂市教育委員会が保管する1万点以上の工楽家文書=高砂市阿弥陀町生石

 江戸時代に丈夫な帆布を発明し、海運業に貢献した高砂出身の工楽松右衛門が、全国各地の港湾整備を手掛けた築港の第一人者だったことが5日、兵庫県高砂市教育委員会の調査で分かった。松右衛門が整備した港の絵図複数枚が見つかったほか、函館で造成した港湾施設を淡路出身の豪商高田屋嘉兵衛に譲っていたことを示す資料を確認。市教委は、松右衛門が残した古文書約1万1500点を分析し、「工楽家文書調査報告書」としてまとめた。(本田純一、大国正美)

 工楽松右衛門の詳細な研究は進んでいなかったが2016年、工楽家が代々住んでいた家を市に寄贈。高砂市史編さん専門委員が、日本福祉大の曲田浩和教授(日本近世史)らとともに古文書を調査した。

 報告書によると、松右衛門は幕府の命令により択捉島で港を開発。さらに高砂や函館(北海道)、鞆の浦(広島県)の計4カ所の港湾整備に携わった。鞆の浦については、港湾の設計に必要な測量図が初めて見つかったという。

 松右衛門は海中の大石を船で運び、海底の土砂をさらう船も製造した。これらの技術を2代目松右衛門が受け継ぎ、島根から福岡県にかけて港湾4カ所で技術指導。2代にわたって全国の港湾整備に尽力した。

 また、兵庫津(神戸市)で複数の大型船を所有。これらの船で北海道から肥料や木材を大阪に運び、大阪からは綿や砂糖などを運んで財を成した。高砂では造船にも取り組み、朝鮮半島から訪れる「朝鮮通信使」の船の建造にも携わった。

 松右衛門は、高田屋嘉兵衛に先だって蝦夷地と交易。幕府領になる前の1794年から始め、1802年に択捉島に港を整備し、蝦夷-江戸間で幕府御用達の荷物を運んでいたという。函館では、船を維持管理する施設(ドック)を整備した後、土地の権利を高田屋に永代譲渡。高田屋の蝦夷地での活動の大きな支えになったとみられる。

 市史編さん専門委員会の委員長を務める今井修平・神戸女子大教授(日本近世史)は「港湾整備の第一人者だったことが裏付けられた。大型船が出入りできる港を整備したことで物流量は増加。船の速度を高めた松右衛門帆の発明と相まって、経済発展への功績は大きい」と話している。

 報告書はA4判180ページ。兵庫県立図書館や高砂、神戸、加古川の市立図書館で閲覧できる。

■工楽松右衛門(1743~1812年) 現在の高砂市高砂町東宮町に生まれた。神戸で船乗りになり、御影屋を名乗って海運業を営んだ。丈夫な木綿の帆布「松右衛門帆」を発明し、全国で港の整備にも取り組んだ。「工夫を楽しむ」として幕臣から工楽の姓を与えられた。

      船名                 総トン数     バース      入港日       時刻  出港日      時刻    前港   次港            クルーズ内容(区間、日程など) 

DIAMOND PRINCESS 115,906 4Q1/Q2 6月8日(土) 6:00 6月8日(土) 17:00 釜山 那覇
夏を先どり!沖縄・台湾リゾートクルーズ 8日間 出港
SPECTRUM OF THE SEAS 168,666 4Q1/Q2 6月9日(日) 6:30 6月9日(日) 16:00 大阪 横浜 大阪・神戸・横浜クルーズ 7泊8日 寄港

 

DIAMOND PRINCESS









SPECTRUM OF THE SEAS







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神戸港に初入港した外国客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」=神戸市中央区港島3から望む
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神戸港に初入港した外国客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」=神戸市中央区港島3から望む

 米国の会社が運航する豪華客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(16万9300トン、全長347・1メートル)が9日早朝、神戸市中央区新港町の神戸ポートターミナルに初めて入港した。同ターミナルの送迎デッキを訪れた人は「マンションぐらい大きい」と驚いていた。

 神戸市によると、同船は神戸港に今年入港した客船の中で最大。約4100人が乗船し、中国・上海を発着する8日間のクルーズで、大阪や神戸、横浜の各港を巡るという。

 同日午後4時、次の寄港地である横浜港に向けて出航。見送りの際には、流通科学大(同市西区)の学生による和太鼓演奏や、市消防艇によるカラー放水などがあった。

 市のホームページで同船の入港を知った同市垂水区の会社員(55)は「実際に乗って、明石海峡大橋を下から見てみたい」と話した。(川村岳也)